中小企業で頑張る“タンクん”に明日はあるのか?

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2015年06月15日

ロジカル・・・5

北九州市・小倉

『また着てるよ、好きだね~』
『どうしたんですか?』
『ほら、また着てるよ。よほど会いたいんだね』
『そりゃそーでしょ。そうでなきゃ商売上がったりですよ』
『そうだよな。』
『そうやって男心をくすぐるのが僕たちの仕事ですから・・・』
『また来た。あずさ2号さん。こんどで4度目だよ。
 断られても断られてもこうやって会いたいんだよな。』
『実在しないのに・・早くあきらめないかなぁ・・相手するのも疲れたよ』
『まぁまぁそう言わずに。僕らが儲かるためですよ・・・』
『あぁ。“じゃ~次の日曜日駅前でね”っと。』


中津駅前 北口 中華店前
”ここだよな。やっと会える。あきらめないでよかった”
”でもまたダメになるんじゃないだろ~な”

黒いタクシーから降り立った女、白のファーのジャケットに赤のミニ
”菜緒子に間違いない”
女はゆっくり歩いてきた。
『こ、こんにちわ。菜緒子さんですよね』
『あなたが“あずさ2号”さん?』
『はい。』
相原のニックネーム“あずさ2号”

ふたりは歩きだした。昔の様なにぎやかさはない。
不景気になって以来、繁華街に出歩くこともなくなっていた。
バブル期とはかなり変わっている。

目の当りにできた高揚感が私をじょう舌にしていた。
これまでのいきさつ・・と言うか、なぜ土壇場でダメになったのか?
私の口調はTVドラマの刑事のように
菜緒子の言葉の隅々をチェックし、一言も漏らさないように。
注意深く、確かめるように。
喫茶店から洒落たバーへ。
30歳には見えない、いやそれなりの色香の漂う女。
  


Posted by タンクん at 07:07Comments(0)

2015年06月15日

ロジカル・・・6

私はその頬杖をついての話し方も、時折見せる困った顔も、
軽く髪を掻き揚げるしぐさも、全てがいとおしく思える自分に気づき
“いかん。このままでは・・・”
話題を変えても、ついその愛くるしい顔に惹かれるのだった。

『ねぇ、今からなんと呼べばいい?』
『“まこと”でいい』
本名を言った後、“しまった”と思った。
それでも、許せるくらいすでに菜緒子の虜になっている自分にも気づいた。

バーを出てすぐに近くのホテルに直行した。
菜緒子は慣れているように思えた。
シャワーしている菜緒子を後から・・・
そして・・・

『急な仕事でごめんなさい。次は絶対会うからね。絶対だよ。
 会えなかったらさよならにするから・・それだけ真剣なのよ。』


『はぁ~、これでやっと“あずさ2号”さんともおさらばだ』
『先輩。止めるんですか?』
『ああ。こいつとも長いからな。相手するのも疲れたし。』
『あんまり長いとね・・・。他人(ほか)でかせぎましょう。』
『そうだろ。』


昨日の菜緒子を思い出していた。
全身を包む甘美な香り。妻以外の初めての情事。
“{危険な情事}みたいなことにはなんないよな”
私はすっかり虜になり、仕事などどうでもよかった。


仕事。そう今は民事再生に向けて大変な時期。
毎日のように工程の不具合が発生していた。
何より社員のやる気のなさが問題なのだ。
どうすればうまく再生できるのか?
私には全く違った2つの悩みがあった。

そして、突如悩みはもうひとつ増えることに・・・
  


Posted by タンクん at 19:43Comments(0)