中小企業で頑張る“タンクん”に明日はあるのか?

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2015年06月26日

アイソレイト・・・4

『相原さん。私も菜緒子を探しているんです。』
『多分探しながら、あなたを見張っていた。いや、導いていたのかも。』
『導くだと?何処に』
『さぁ。わかりません。・・・・菜緒子にしか』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
人は日常ではない一瞬、“にやり”という表情をする。
“やった”とか“しめた”とか、いつもと違う出来事を期待した時。

人は、心の奥底で日常はつまらないと思っている。
そして、非日常を期待している。
それが現実になる瞬間、“にやり”とスイッチを入れる。
そういえばいろんな場面で“にやり”を見てきたような気がする。
それが良い事でも、悪い事でも関係なく、非日常と言う意味では同じ。

菜緒子はそのスイッチを入れている。
脳裏と共に生きて・・・・・
だから、時代を超えて生きられる。

それにしても、私になぜそれを教えたかったのか?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『どうすれば菜緒子に会える?教えろ』
『私にも分りません。ただ・・』
『ただ何だ?』
『ただ、普通じゃない事をすれば、会えるのでは・・・』

・・・・・・そう、菜緒子が私の中にいるなら、出せばいい・・・・・
・・・普通じゃない事をして・・・・・・・・

私の目の前にはナイフがある。
鏡にナイフを持った自分を映してみる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
どうしても菜緒子に会いたい。
話がしたい。
疑問を解きたい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  


Posted by タンクん at 07:21Comments(0)

2015年06月26日

アイソレイト・・・5

紀美子が階段を上がってくる足音。
“紀美子 すまん”
寝室の扉は開いている。
『ね~。いつまで寝てるの?』
振り向く私の手にナイフを見つけ
『どうしたの?何してんの?』

私の顔を見た紀美子の表情はすぐに恐怖に変わっていった。
その変化をスローモーションのように感じ、そして味わっている自分。
“そう、これが非日常。これこそが・・・菜緒子出て来い”

じりじりと紀美子に迫り寄る。
そして一気に切りつけた。

紀美子の悲鳴がこれほど心地よく感じられたのは何時以来だろう。
逃げまどう紀美子をすこしづつ追い詰めるこの快感。

たぶん私は“にやり”としている。

台所の片隅に潜んだ紀美子を見つけだし、最後の留めを・・・
振り上げた右手の背後で菜緒子の声がした。

『ふふふ。楽しそう。』
『菜緒子  会いたかった』
『あら。いつも一緒にいるのに。まことが気づかないだけよ』

いつの間にか紀美子は居なくなっている。
私は菜緒子に聞かなければ。
『教えてくれ。なぜ私の前に現れた?』
『だから、いつも一緒にいるのよ。』
『それに、まことの考えはもう知ってるわ。非日常のこと。だいたい当たってるわね。』
『でも違ってる』
『なにが、おまえは私にこんな事をさせて喜んでるじゃないか。目的はなんだ。』

『それが、違うの。喜んでるのはあなたなのよ“まこと”』

・・・・・・・・・・・・・・わたしは・・・・・・・・・・・・・・
  


Posted by タンクん at 12:36Comments(0)

2015年06月26日

アイソレイト・・・6

わたしは喜んでいる。
この非日常の出来事を。
そう。わたしには理解できてしまった。

菜緒子は私の、いや我々人間の欲望なのだ。
欲望が実体化した姿。だから楽しむときに現れる。
そう、楽しむときだけに・・・・

いつも脳裏に住み着いていると言う表現も理解できた。

菜緒子はただ楽しがっている。
目的なんてない。楽しければ・・・・・

楽しさの表現は人それぞれ・・・
それがSEXであろうと、犯罪であろうと、スポーツにおける勝利であったり、
労働であったり、自己実現であったり・・・・

最も現れやすい事が、非日常の出来事の場合。
その一瞬。人はなんとも言い様のない快感を感じるものだ。

私には理解できた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
道行く人が私をみている。
目が合った瞬間“にやり”とする。
彼の中の菜緒子が私に期待しているのだ。
いや、私の菜緒子が彼を動かしているのかもしれない。

そうやって我々は日々快感を求めている。

菜緒子は私に“もっと楽しめ”と言いに来たのだ。

民事再生も楽しみの対象だったのか?

・・・・・・・・・・・・・・・・私はそれから・・・・・・・・・・
  


Posted by タンクん at 19:25Comments(0)