中小企業で頑張る“タンクん”に明日はあるのか?

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2015年06月16日

ロジカル・・・7

・・・2度目の密会・・・

『やっぱりダメ。ほんとにごめんなさい。
 縁がなかったと思ってあきらめてね。』

『先日はどうも・・私のことどう思う。すぐ会いたい・・』

『あさって会える?』

『もう。終わりね。メールしないで』

『えっ。どう言うこと?』

『いいよ。じゃ~また同じ時間にね。』

『あなたとは会えない』

『同じ場所だろ?』

『何のこと? だからメールしないでよ』

私は困惑した。1度会っているのに・・どういうことなのか?
不可解なメールのやり取りをしながら2度目の密会の日はやってきた。

タクシーから降り立った菜緒子は同じファーのジャケットにミニ。
“ほんとに会えないとはどう言う事だったのか?”
目の前に存在するのに・・・

不思議な顔をしているのだろう。
菜緒子は私の顔をのぞき込み、そして二人してまたネオン街に足を速めた。
夕暮れの淡い光がなんとも言えない妙な雰囲気をかもし出している。

『あなたに会えて嬉しい』
この甘美な香り・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『絶対会えない』
菜緒子からのメールが来た。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ホテルを後にした。
  


Posted by タンクん at 07:12Comments(0)

2015年06月16日

エボルブ・・・1

路地はまだ明るく、若いカップルが数多くたむろしている。
防衛本能からか、中津を離れ、行橋に来ていた。

『また会おうね』
菜緒子の頬は少し赤く上気している。
私は菜緒子の手を握り
『ああ。次の土曜日ならいいよ』

菜緒子は再三振り向きながら路地を曲がって行った。
ひと通り見送った私は、急にふいた冷たい風に現実に押し戻されたようだ。

“早く帰ろう、今日も残業だ”
とっさに言い訳を考えていた。

・・・ キー ドス ・・・

急ブレーキと鈍い音

すぐに“やっちまったな”と思った。

音は路地向こうから聞こえた。

何人かが走り寄っている。

私も軽く駆け足で近寄る。

女だ。白い服が赤く染まっている。

人垣から覗き込む。

長い足が折れ曲がっている。

近くにバッグが・・見覚えがある・・・

“えっ。誰? もしや”

私は更に近づき、その女の顔を認識した。

“菜緒子だ。間違いない”
  


Posted by タンクん at 13:49Comments(0)

2015年06月16日

エボルブ・・・2

私は走り出していた。とにかく遠くへ。
信じられない。つい先程まであんなに・・・
全身が震えていた。最後に会ったのが私なのか・・・

震える手を抑え、何事も無かったように家に帰った。

玄関の扉を開けたと同時にメールが来た。

“菜緒子”  メールは菜緒子からだった。

私は困惑していた。
たぶん菜緒子が死ぬ前に出したメールが遅れて来たんだろう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『民事再生の計画は次の通り。まず債権者への返済額として年間約1億円 
 これは銀行貸し入れ金の約60億円の金利は免除してもらっています。
 但し、再生後の返済をどのようにするかは協議中です。
 次に固定費の削減 にあたり、人員30%削減、現状給料の10%削減を行な
 います。
 尚、退職金等に関しましては、従来の・・・・・』

発表する管理部部長 白井の手が震えていた。

従業員の反応は解っていた。ざわついた食堂が収まる事はなかった。

一従業員である私も同じ思い。
ただ中間管理職と言う立場のあやふやなことと言ったらどうしようもない。
それでも平然と会社側に意見を発してきた私は従業員の一員として皆に頼られていたと思う。
・・・・事件が明るみになるまでは・・・・

説明会は続いていた。
会社側の言い分もわからなくはないが、こっちも生活がかかっている。
口々に文句を言い出していた。

『やっぱり会いたい。直メのアドレス教えるね。』

胸ポケットから取り出した携帯画面を見て、私は飛び跳ねた。
  


Posted by タンクん at 18:51Comments(0)