中小企業で頑張る“タンクん”に明日はあるのか?

2015年06月20日

ペネトレイト・・・2

“昨日の菜緒子”はうつむいていたが、明らかにその風貌は違っていた。
あのいかにもそれ風のいでたちではない。
どこかの制服(会社の受付?)を着て、楚々としている。

私が車を覗き込んでいると、刑事が近づいてきた。
『や~、昨日はどうも』
『はぁ。何も言うことはないですよ。 うそは言ってません。』
『いやいや、今日はおたく(会社)の部長さんに用事があってね。』

“もうそこまで調べているのか”
たぶん白井部長のこと。私をはめようとした?

『すいません。お呼び出てしまして』
“わたしの時とはずいぶん違うものだ”
『何の用ですか?』
『この方はお宅のお嬢さんですよね?』
車を覗き込んだ部長は驚いていた。
『美恵。何やってんだ?』
“娘?白井部長の?”
びっくりしたのは私の方である。・・・・・“昨日の菜緒子が娘”・・・・
私は刑事と部長の話に聞き耳をたてた。 ・・・・・・・
美恵(昨日の菜緒子)は会社帰りに路上で刃物を持って暴れたらしい。
事情も何もわからない。
美恵もそのときのことをよく覚えていないらしい。
ただ叫んでいた・・・菜緒子来ないで・・・
『あなたはこの人をしってますか?』 ・・・・・・・写真を見せている・・・・・・・・
『はい。』
『どう言う関係ですか?』
『私の初恋の人です。』
『名前は?』
私は刑事の肩越しに写真を覗き込んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・“菜緒子”・・・・・・・・・・・・・・・
私は、美恵が菜緒子の名を叫んで暴れたことよりも、その写真を見て愕然としていた。
『初恋って。白井さん。あんた何歳ですか?』
・・・・・・・・・・・・・・・どうみてもつじつまが合わない・・・・・・・・・・・
『それにもうひとつ。先週彼女は車にはねられたんですが、手帳にあなたの事がびっしり書かれてました。』
『どういう事ですか?』
私の時と同じ、菜緒子はいったい・・・・・・・
白井部長が警察と一緒に(娘と一緒に)行ったので、私はハンドルカバーの件を聞けずにいた。



Posted by タンクん at 06:46│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。