中小企業で頑張る“タンクん”に明日はあるのか?

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2015年06月11日

そして・・・これから・・・

中小企業にとって大きな出来事がありました。
この物語は、発生当時からのタンクんの行動をつづっています。

その後の物語もいろいろとありました。

先ずは当時の出来事から回想してみましょう。
  


Posted by タンクん at 09:18Comments(0)

2015年06月11日

プロローグ

なんてことはない。全て想定してたことさ。
中間管理職 相原真 41歳 既婚 子供2人 小さいが一戸建てに住む。
バイタリティーあふれる彼は周りからも慕われ、頼りにされていた。

就職して15年 会社の内情も少し解り、改革を推し進めなければと思っていた矢先のことだった。

家庭に不満がある訳ではない。ただ刺激がほしかった。冒険してみたかった。それだけのこと
“浮気のひとつもできない男は駄目”そんな言葉が頭をよぎる。

順調で、単調な日々の生活に少し刺激がほしい。
最初はそんな気持ちからだった。

朝一番にパソコンの電源を入れる。いつものように沢山のメールだ。
その中に『当選』の文字。そういえば何かと懸賞サイトに応募してみたりもした。

スポンサーサイドの懸賞に当選されました。
住所・氏名等 詳細を記入して登録して下さい。
商品券をお贈りします。

たった1000円の商品券。
それでも当選なんだから登録しとけ。
ちょっとは小遣いになるかな。

この不景気に残業カット・給料削減は痛い。子供の将来も不安。
なにより自分の将来も。
だから改革なんだよねってサービス残業の日々。

今日も疲れて駐車場に向かう。
突然携帯にメールが入った。
『すぐ会いたい。ダメですか?』
はぁ? どうゆうこと?

それから色んな人からのメール。
ちょっと待った。これはいったい・・?
そうか。 あの登録か。

彼は一歩踏み出そうとしていた。


  


Posted by タンクん at 14:37Comments(0)

2015年06月12日

ロジカル・・・1

携帯のメール着信はひっきりなしに続いた。

『会える人ですよね?待ってます』
『いま、シャワー中。見たい?』
『どこにしますか? ・・・』

色んな人からのメール。
そのほとんどがある目的をもったもの。

これが出会い系サイトか。
しかし、みんなそうなんだろーか?
みんなこうして・・・

『連絡待ってます。』

『あなたの好きにして下さい』

携帯の着信音を消した。
最初は音を小さくしたが、それじゃだめだ。
家での着信は気を使う。
悪いことをしているようで・・・

まだ何も始まっていないのに。

『あなたの精子を下さい』

『3Pは好きですか?』

だんだん過激なものが送られてくるようになった。

みんなそんなに・・・
いっぱいいるんだなぁ・・・

『逆援助交際希望。50万では?』

興味が湧かない人はいないだろう。
メールが送られるようになって2日後、
初めて返事をした。
  


Posted by タンクん at 07:38Comments(0)

2015年06月12日

ロジカル・・・2

『臨時朝礼を行ないます。全員食堂にお集まり下さい』
いつもの声・いつもの調子

昨日 上司には聞いていた。
『会社は民事再生を出した。』
『あす。発表だから』

さほど驚きは無かった。会社が儲かっていないのは知ってたから・・・

自称改革派としては、もっと早くこうなる事を望んでいたのかもしれない。
一度チャラになれば、道は開けるのではないか?
とはいえ・・・サラリーマンはつらいものである。

ぞろぞろといつもの様に集まってきた。・・・何も知らずに
総勢約80名

『社長からの伝言を伝えます。』 工場長がマイクを持った。
『我社は長年活躍してきました。各プロジェクトも順調に推移し、やっと黒字を
出すことができました。しかし、いままでの赤字により資金繰りが悪化し、本日
民事再生を申請しました。』
みんなきょとんとしている。
『皆さんの頑張りによりこれから大きく変わろうとしている時に、経営者として
このような恥ずかしい決断をしなければならないことは、まことに・・・・』

もう聞こえていない。だれも聞いていない。
みんなの動揺は明らかだ。

さて。どうする?
解散後すぐにメールが来た。
  


Posted by タンクん at 15:02Comments(0)

2015年06月12日

ロジカル・・・3

『どこで逢う?いつ逢う?』
メールの主は先日返事をした人だ。
写メール
30歳には見えない活発でかわいい。

会社のことはさておき・・なぜか惹かれる。
会ってみたい。

早速返事だ。
『どこかの駐車場はどう?』
『迎えにいくよ?いっぱいHしようね』
『あさっての夕方はどう?』
『仕事なんだ・・・』
『君の都合のいい時でいいよ』
『わかった。連絡するね。』

こんな会話久しぶりだ。
なんと心地よいのだろう。

そういえば最近刺激はなかった。
唯一の刺激が会社のことだなんて・・・

次の日の朝
おはようメールが来た。

妻には内緒で返事をだす。
そして・・・・
  


Posted by タンクん at 17:11Comments(0)

2015年06月14日

ロジカル・・・4

なんと表現しよう。この感覚。遠い昔、若かりし日々の記憶。
いかがわしい期待で体の奥から元気がでている。

『仕事が忙しいんだ・・ねぇ。どんな格好で待ち合わせようか?
私はファーのジャケットに赤のミニかな』

『何処で会う?』
『こんど車買うんだ。私のBMWいらない?』
『いらない。近くの駅までいくよ』
『早く逢いたい。得意なのはアナル舐めることかな』


『民事再生の申請が認可された。今から計画を建てる。皆さんへの説明はしっかりします。』

不意に耳に聞こえてきた。ここは全体朝礼。
発表の日からもう10日。
混乱はあったが、なんとか仕事をやっている。

給料は?退職金は?
『今月定年なんだ。相原くん調べてくれよ』
会社への不満・疑心・色んな感情はあるが、ここは皆の為・・・

『こんどの土曜日に逢おうね』

金曜日の深夜
『ごめん。ダメみたい。仕事入っちゃった。
次は絶対だから・・・ネ。』

『いい時でいいよ。』

あせってるわけではないが、いい気にはなれない。

こんなことが3回も続いた。
約束をしては、前の日にダメになる。
当日の朝ダメになる。
それでもメールを待っている。はかない想い。
そう、いかがわしい想い。

そして・・やっと・・
  


Posted by タンクん at 06:18Comments(0)

2015年06月15日

ロジカル・・・5

北九州市・小倉

『また着てるよ、好きだね~』
『どうしたんですか?』
『ほら、また着てるよ。よほど会いたいんだね』
『そりゃそーでしょ。そうでなきゃ商売上がったりですよ』
『そうだよな。』
『そうやって男心をくすぐるのが僕たちの仕事ですから・・・』
『また来た。あずさ2号さん。こんどで4度目だよ。
 断られても断られてもこうやって会いたいんだよな。』
『実在しないのに・・早くあきらめないかなぁ・・相手するのも疲れたよ』
『まぁまぁそう言わずに。僕らが儲かるためですよ・・・』
『あぁ。“じゃ~次の日曜日駅前でね”っと。』


中津駅前 北口 中華店前
”ここだよな。やっと会える。あきらめないでよかった”
”でもまたダメになるんじゃないだろ~な”

黒いタクシーから降り立った女、白のファーのジャケットに赤のミニ
”菜緒子に間違いない”
女はゆっくり歩いてきた。
『こ、こんにちわ。菜緒子さんですよね』
『あなたが“あずさ2号”さん?』
『はい。』
相原のニックネーム“あずさ2号”

ふたりは歩きだした。昔の様なにぎやかさはない。
不景気になって以来、繁華街に出歩くこともなくなっていた。
バブル期とはかなり変わっている。

目の当りにできた高揚感が私をじょう舌にしていた。
これまでのいきさつ・・と言うか、なぜ土壇場でダメになったのか?
私の口調はTVドラマの刑事のように
菜緒子の言葉の隅々をチェックし、一言も漏らさないように。
注意深く、確かめるように。
喫茶店から洒落たバーへ。
30歳には見えない、いやそれなりの色香の漂う女。
  


Posted by タンクん at 07:07Comments(0)

2015年06月15日

ロジカル・・・6

私はその頬杖をついての話し方も、時折見せる困った顔も、
軽く髪を掻き揚げるしぐさも、全てがいとおしく思える自分に気づき
“いかん。このままでは・・・”
話題を変えても、ついその愛くるしい顔に惹かれるのだった。

『ねぇ、今からなんと呼べばいい?』
『“まこと”でいい』
本名を言った後、“しまった”と思った。
それでも、許せるくらいすでに菜緒子の虜になっている自分にも気づいた。

バーを出てすぐに近くのホテルに直行した。
菜緒子は慣れているように思えた。
シャワーしている菜緒子を後から・・・
そして・・・

『急な仕事でごめんなさい。次は絶対会うからね。絶対だよ。
 会えなかったらさよならにするから・・それだけ真剣なのよ。』


『はぁ~、これでやっと“あずさ2号”さんともおさらばだ』
『先輩。止めるんですか?』
『ああ。こいつとも長いからな。相手するのも疲れたし。』
『あんまり長いとね・・・。他人(ほか)でかせぎましょう。』
『そうだろ。』


昨日の菜緒子を思い出していた。
全身を包む甘美な香り。妻以外の初めての情事。
“{危険な情事}みたいなことにはなんないよな”
私はすっかり虜になり、仕事などどうでもよかった。


仕事。そう今は民事再生に向けて大変な時期。
毎日のように工程の不具合が発生していた。
何より社員のやる気のなさが問題なのだ。
どうすればうまく再生できるのか?
私には全く違った2つの悩みがあった。

そして、突如悩みはもうひとつ増えることに・・・
  


Posted by タンクん at 19:43Comments(0)

2015年06月16日

ロジカル・・・7

・・・2度目の密会・・・

『やっぱりダメ。ほんとにごめんなさい。
 縁がなかったと思ってあきらめてね。』

『先日はどうも・・私のことどう思う。すぐ会いたい・・』

『あさって会える?』

『もう。終わりね。メールしないで』

『えっ。どう言うこと?』

『いいよ。じゃ~また同じ時間にね。』

『あなたとは会えない』

『同じ場所だろ?』

『何のこと? だからメールしないでよ』

私は困惑した。1度会っているのに・・どういうことなのか?
不可解なメールのやり取りをしながら2度目の密会の日はやってきた。

タクシーから降り立った菜緒子は同じファーのジャケットにミニ。
“ほんとに会えないとはどう言う事だったのか?”
目の前に存在するのに・・・

不思議な顔をしているのだろう。
菜緒子は私の顔をのぞき込み、そして二人してまたネオン街に足を速めた。
夕暮れの淡い光がなんとも言えない妙な雰囲気をかもし出している。

『あなたに会えて嬉しい』
この甘美な香り・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『絶対会えない』
菜緒子からのメールが来た。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ホテルを後にした。
  


Posted by タンクん at 07:12Comments(0)

2015年06月16日

エボルブ・・・1

路地はまだ明るく、若いカップルが数多くたむろしている。
防衛本能からか、中津を離れ、行橋に来ていた。

『また会おうね』
菜緒子の頬は少し赤く上気している。
私は菜緒子の手を握り
『ああ。次の土曜日ならいいよ』

菜緒子は再三振り向きながら路地を曲がって行った。
ひと通り見送った私は、急にふいた冷たい風に現実に押し戻されたようだ。

“早く帰ろう、今日も残業だ”
とっさに言い訳を考えていた。

・・・ キー ドス ・・・

急ブレーキと鈍い音

すぐに“やっちまったな”と思った。

音は路地向こうから聞こえた。

何人かが走り寄っている。

私も軽く駆け足で近寄る。

女だ。白い服が赤く染まっている。

人垣から覗き込む。

長い足が折れ曲がっている。

近くにバッグが・・見覚えがある・・・

“えっ。誰? もしや”

私は更に近づき、その女の顔を認識した。

“菜緒子だ。間違いない”
  


Posted by タンクん at 13:49Comments(0)