アイソレイト・・・5
紀美子が階段を上がってくる足音。
“紀美子 すまん”
寝室の扉は開いている。
『ね~。いつまで寝てるの?』
振り向く私の手にナイフを見つけ
『どうしたの?何してんの?』
私の顔を見た紀美子の表情はすぐに恐怖に変わっていった。
その変化をスローモーションのように感じ、そして味わっている自分。
“そう、これが非日常。これこそが・・・菜緒子出て来い”
じりじりと紀美子に迫り寄る。
そして一気に切りつけた。
紀美子の悲鳴がこれほど心地よく感じられたのは何時以来だろう。
逃げまどう紀美子をすこしづつ追い詰めるこの快感。
たぶん私は“にやり”としている。
台所の片隅に潜んだ紀美子を見つけだし、最後の留めを・・・
振り上げた右手の背後で菜緒子の声がした。
『ふふふ。楽しそう。』
『菜緒子 会いたかった』
『あら。いつも一緒にいるのに。まことが気づかないだけよ』
いつの間にか紀美子は居なくなっている。
私は菜緒子に聞かなければ。
『教えてくれ。なぜ私の前に現れた?』
『だから、いつも一緒にいるのよ。』
『それに、まことの考えはもう知ってるわ。非日常のこと。だいたい当たってるわね。』
『でも違ってる』
『なにが、おまえは私にこんな事をさせて喜んでるじゃないか。目的はなんだ。』
『それが、違うの。喜んでるのはあなたなのよ“まこと”』
・・・・・・・・・・・・・・わたしは・・・・・・・・・・・・・・