ペネトレイト・・・3

タンクん

2015年06月21日 05:53

今日も民事再生の計画についての説明は続いていた。
だが私にとってそんなことはどうでもよくなっていた。
わからない事が多すぎる。それに私は疑われている。・・・・・・殺人・・・・・・・・
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この時は気にするほど余裕もなかったのだろう。
考えてみれば、殺人容疑をかけられている割には、警察の追及があまい。
私は泳がされていたのか?
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わかっている事は、菜緒子と夜を共にし、菜緒子は車にはねられて死んだ。
そして表れた新しい菜緒子(美恵)は白井部長の娘。
そして、菜緒子は白井部長とも関係があった。

発端となった出会い系サイトに行って確かめたい。・・・・・でも何を?・・・・・・・・
菜緒子のアパートにも行かなくてはならない。

『それでは解散します。』
民事再生の話は一向に耳には入らなかった。
社員がいっせいに席をたったので、食堂は混雑していた。

私は混雑が収まるまで席をたたずにいた。
何気なくその様子を眺めていると、私に正面を向いてじっと私を見ている男がいる。
“検査の三木”だ。・・・・・・・・・・目が合った・・・・・・・・・・・・
なんて冷たいまなざしなんだ。
彼は温厚で、そんな目をする人ではなかった。 
・・・・・唇の片方だけを上げ“にやり”と笑った・・・・・
そう。すべて知っているよとでも言うような“にやり”。
私はぞっとしてすぐに三木を追いかけた。

普通に机に座ろうとしていた三木に詰め寄る。
『おい!何を知ってる?』
『なんですか?いきなり』
『今、笑っただろ。』
『何のことですか?離して下さいよ。』

私はあの“にやり”に言い知れぬ恐怖を覚えていた。