エボルブ・・・6
『相原さん。お客さんですよ。・・警察だって・・・』
総務の小島くんが耳打ちした。
その二人(ドラマの刑事風ではない)を連れて門の前に行った。
『警察です。少しお伺いしたい事がありまして。』
『何でしょう』
『この人を知ってますか?』
刑事は顔だけがやけに白い写真を出した。
・・・菜緒子の顔・・・ 昨日の菜緒子ではない。
『いっ、いいえ。』
『おかしいですね。被害者の手帳からあなたの名前が出てきたんですが・・』
『それも、何度も。・・・あなた会ってますよね』『その日』
『どんな関係ですか?』
若い刑事(佐賀出身の新人らしい)はちょっと人を馬鹿にしたような言い方で矢継ぎ早に聞いてきた。
『愛人ですか?』
『い、いや、そんな』
私はうそが下手だ。昔からオフェンスはいいが、ディフェンスはだめだった。
正直に話した方が良さそうだ。
出会い系で知り合ったこと。
その日が2回目のデートであったこと。
車にはねられたみたいだった事。
・・・昨日の菜緒子の事は話していない・・・・
『手帳にはあなたの事が詳しく書き込まれています。』
『住所、年齢、家族構成、カード番号、貯金の額まで、まぁこれは定かではないですが・・・
かなり親しかったようですね。』
『そんなはずはない。』
『ところで、ひき逃げ車が見つかりましてね。』
『面白い事に、ハンドルにあなたの指紋がありましたよ。』
『はぁ~!! ちょっ、ちょっと待って下さい。どう言うことですか?』
『だから、あなたがひき逃げしたって事ですよ。』
・・・全く何がなんだか・・・