プロローグ
なんてことはない。全て想定してたことさ。
中間管理職 相原真 41歳 既婚 子供2人 小さいが一戸建てに住む。
バイタリティーあふれる彼は周りからも慕われ、頼りにされていた。
就職して15年 会社の内情も少し解り、改革を推し進めなければと思っていた矢先のことだった。
家庭に不満がある訳ではない。ただ刺激がほしかった。冒険してみたかった。それだけのこと
“浮気のひとつもできない男は駄目”そんな言葉が頭をよぎる。
順調で、単調な日々の生活に少し刺激がほしい。
最初はそんな気持ちからだった。
朝一番にパソコンの電源を入れる。いつものように沢山のメールだ。
その中に『当選』の文字。そういえば何かと懸賞サイトに応募してみたりもした。
スポンサーサイドの懸賞に当選されました。
住所・氏名等 詳細を記入して登録して下さい。
商品券をお贈りします。
たった1000円の商品券。
それでも当選なんだから登録しとけ。
ちょっとは小遣いになるかな。
この不景気に残業カット・給料削減は痛い。子供の将来も不安。
なにより自分の将来も。
だから改革なんだよねってサービス残業の日々。
今日も疲れて駐車場に向かう。
突然携帯にメールが入った。
『すぐ会いたい。ダメですか?』
はぁ? どうゆうこと?
それから色んな人からのメール。
ちょっと待った。これはいったい・・?
そうか。 あの登録か。
彼は一歩踏み出そうとしていた。